はじめに
少子高齢化・人口減少が進む日本において、「内需株」の中でも特に「食」に関わるビジネスは安定感があり、消費者の嗜好や安全・品質への要求が高いため、差別化しやすい分野です。その中でも「水産加工会社」は、原料調達~加工技術~ブランド力~輸出力など多様な強みを持っており、成長ポテンシャルが見込めます。最近、私自身オカムラ食品工業の株取引で大きな利益を得たことから、この分野を深掘りし、水産加工銘柄の中で割安/高配当/高ROEが期待できる銘柄をいくつか紹介します。
今回のブログ記事にもmoomoo証券の情報が役立ちました。日本株・米国株の情報収集には無料会員登録するだけで各種情報が手に入るmoomoo証券がおススメです。私も登録してますよ~
AI株価予測と圧倒的に安い米国株手数料で今大注目のmoomoo証券を解説
👉こちらの特集記事もご覧ください!
養殖から販売まで垂直統合のオカムラ食品工業はサーモン・イクラでテンバガー候補!
日本の水産加工会社のポテンシャル・成長性
国内市場の安定性と変化
- 日本人の食生活における魚・加工水産品の地位は昔から高く、寿司・刺身・練り製品(かまぼこ・ちくわ等)といった伝統的商品が一定需給を保っています。内食(家庭内消費)や中食(弁当・惣菜)、外食、冷凍食品の伸びなど、さまざまなチャネルで需要があります。
- 健康志向の高まり。たんぱく質、DHA/EPA、低脂肪、減塩などの観点から魚・海産物に注目が集まっています。これは水産加工会社にとって製品開発の追い風。
輸出拡大の機会
- 国内市場の人口減少が構造的に進む中、海外展開は不可欠。日本産の水産加工品(鮨ネタ、練り製品、冷凍魚など)は品質・安全性・ブランド価値で世界から評価が高く、アジアを中心に需要が伸びています。
- 政府や関係機関(農林水産省、JETROなど)による支援制度も増えており、輸出規制・衛生基準の調整・物流改善などが進展しています。
技術革新・省力化・生産性向上
- 原料価格変動、漁獲量の不安定さ、労働力不足などの構造的な課題があります。その対応として、冷凍・加工技術の高度化、IoT/自動化/AIによる選別・包装ラインの効率化、省人化が求められています。国の調査報告でも、水産加工業の生産性向上が重要テーマとして挙げられています。
- 養殖業の強化も重要。天然魚だけでは供給が不安定なため、養殖で安定的に原料を確保する動きが活発化中。
ESG・サステナビリティの観点
- 海洋資源保護、漁業の持続可能性、養殖魚の飼料・環境への配慮などがグローバルな評価要素になっており、これに取り組める企業は国際競争で有利。輸出先での認証(MSC認証など)、トレーサビリティ等も重視される。
- また、消費者側の「安全・安心」を求める傾向が強く、食品事故や品質クレームがあるとブランド毀損リスクが大きいため、企業は品質管理体制に投資をする必要があります。
業界の構造的リスクとその克服可能性
- リスクとしては、原料魚の不漁や漁獲コストの上昇、為替変動、エネルギー・燃料・物流コストの上昇、人手不足などがあります。
- しかしながら、それらを軽減する方策として、養殖の比率を上げること、海外調達・グローバル生産拠点を持つこと、効率改善(省力化・自動化)、在庫・資金運用の最適化などが実際に動いています。水産・加工業界の調査レポートでも、生産性向上が最重要テーマとされています。
オカムラ食品工業の成功事例
私が注目して売買した オカムラ食品工業(証券コード2938) は、ここ数年で売上・利益共に成長を遂げており、株主としても見逃せない動きをしています。以下、ポイントを整理します。
項目 | 内容 |
---|---|
業績推移 | 2025年6月期には、売上高353.45億円(前年比+8.2%)、営業利益30.21億円(前年比+18.6%)と、増収増益を達成。純利益もわずかながら増加。 |
配当・株主還元 | 今期配当は1株あたり8円。株式分割を考慮した実質増配率で26.4%の増配を含む。 |
強みの要因 | 養殖事業と海外卸売事業が好調。売上の伸び・営業利益率の改善が原動力。さらに、過去最高の売上高を更新中。 夜販売、鮮度/加工技術や物流効率の改善も背景。 |
評価指標 | 株探のデータによれば、PERが23.3倍、PBRが3.74倍、配当利回りは0.66%(ただし増配/見通しを加味すると将来的な利回り改善の可能性あり)。 |
このように、オカムラ食品工業は「成長性」「海外展開」「収益性改善」「株主還元の改善」が揃っており、投資対象として魅力的でした。その成功事例から、ほかの銘柄を探す際にも似たような指標やテーマを重視することが有効だと思います。
なぜ日本の食文化・品質・安全が世界に受けるのか
日本の水産加工会社が海外で強く支持される背景には、いくつかの明確な理由があります。
高い品質管理・衛生基準
- 日本国内の法制度(食品衛生法、HACCP制度など)は厳格であり、多くの加工業者・養殖業者がその基準を満たすために投資を続けてきました。
- 衛生管理・鮮度維持・トレーサビリティなどの要件がクリアされていることが、海外の輸入規制をクリアする上でも重要。
食文化におけるブランド価値
- 寿司・刺身・和食文化の国際的普及により、「魚の切り方」「刺身ネタ」「だし文化」「練り製品(蒲鉾等)」といった日本独自の加工品が、海外の高価格市場でプレミアムとして受け入れられる。
- 日本食ブーム・健康志向との相性も良く、“安心で安全な魚”“きちんとした産地表示”などは外国人消費者にもアピールする。
規格・技術・イノベーション
- 冷凍技術・瞬間凍結・凍結保蔵輸送・加工効率・衛生装置などの技術が進化しており、品質劣化を抑えることが可能。
- また養殖技術も向上しており、魚種によっては完全養殖等が進んでいるものもある。これにより供給の安定性も改善される。
安全性・トレーサビリティ
- 食品安全事故が発生すると国内外で影響が大きいため、多くの企業が製品検査・産地表示・原材料調達の透明性を強化。
- 消費者の“知る権利”・“クリーンラベル”志向などの流れも後押ししており、ブランド忠誠度を高める要因となる。
これら要因により、「日本の水産加工会社」は単なる加工業者ではなく、ブランド・品質・安全性を武器に差別化できる立場にあると言えます。
割安・高配当・高ROEで狙いたい水産加工銘柄:厳選3銘柄
以下、私が数ある水産/水産加工銘柄から選んだ、「PER・PBRから見て割安/配当利回りが高め/ROEも一定水準以上を保っている」銘柄を3つ紹介します。もちろん将来リスクもありますが、注目すべきポイントを整理します。
銘柄 | 主な強み | PER・PBR・配当利回り・ROEなどの指標 | リスクと注目点 |
---|---|---|---|
マルハニチロ(1333) | 国内最大級の水産資源・加工食品メーカー。流通販路・海外事業も持っており、スケールメリットがある。中期経営計画での構造改善も進む。 | ・PER(次期予想):約 10.2倍 ・PBR(実績):約 0.8倍 ・配当利回り(予想):約 3.1%・ROE:10.7%前後 | 漁獲コストや魚価の変動、飼料・物流コストの上昇、為替変動などが大きく影響する。株価のボラティリティに注意。とはいえ、現在バリュエーションが控えめなので、リスクとリターンのバランスは良好。 |
日本水産/ニッスイ(1332) | 国内・海外両輪で水産・加工品・冷凍食品・物流など幅広い事業。将来の成長戦略「Good Foods 2030」を掲げており、営業利益500億円レベル、売上1兆円を目標に。 | ・PER(予想):約 13倍前後 ・PBR:1.1~1.2 倍台 ・配当利回り:2.6~3.0%前後(予想) ・ROE:約 9.6% | 大手ゆえに事業範囲が広く、変動要因も多い。冷凍食品・海外市場の為替リスク、原料魚の漁獲量減少、輸送コスト、サステナビリティ対応負荷など。成長戦略がきちんと収益に結びつくかがポイント。 |
極洋(1301) | 主に漁業・水産資源調達から加工・販売まで手がけており、魚種ポートフォリオも広い。業界の中で海外展開や製品の付加価値化の余地があり、コスト構造を改善すれば収益改善のポテンシャルあり。 | ・PBR:0.9倍前後 ・PER:マルハニチロと比べやや高めのレンジだが、収益改善期待が織り込まれれば割安感あり。 ・配当利回り:2~3%台が見込める可能性。 ・ROE:過去実績で水準は一定。 | 魚価・漁獲コスト・燃料・飼料コストの変動が大きい。天然魚依存度が高いため原料調達リスクあり。また輸出では海外の衛生・規制基準の対応がコストになる。ブランド力・付加価値化が鍵。 |
まとめ(投資家としての示唆)
水産加工業界には確かな成長ポテンシャルがありますが、それを捉えるためには以下のポイントに注目すべきです。
- 原料調達・養殖比率:天然魚だけに頼ると不安定なので、養殖を含めた原料ポートフォリオを持つ企業が強い。
- 効率化・技術革新:自動化、省力化、品質・衛生管理の技術を持っているかどうか。物流・冷凍技術なども含めて。
- 輸出・海外展開力:国内需要減少を補うため海外市場の攻略が不可欠。関税・輸出規制・品質基準に対応できる体制があるか。
- バリュエーション指標:PER・PBRが高すぎると成長期待がこめられている反面、リスクも高くなる。逆に割安感・安定収益・配当利回りがある企業は中長期投資の候補になる。
- サステナビリティとブランド力:消費者・規制・海外バイヤーの要求が厳しくなっており、これら対応できる企業=価値の毀損が起きにくい。
結論
私自身オカムラ食品工業で成果を出せた背景は、「成長ストーリー」と「バリュエーションの改善可能性」を十分に見込めたことにあります。水産加工会社は、内需の安定性だけでなく、輸出・健康志向・食文化のブランド力といった強い追い風がある分野です。
マルハニチロ・ニッスイ・極洋の3銘柄は、現在の指標から見て割安・高配当・ROEが一定水準あるものとして特に注目できます。もちろん短期の株価変動、魚価や燃料コスト、為替変動、気候変動などのリスクは存在しますが、中長期で「日本の水産加工会社」に分散投資を検討する価値は十分にあると考えています
👉関連記事
コメント