はじめに
自民党総裁選(10月4日投開票)では、小泉候補・高市候補いずれが勝っても「防衛費拡大路線」が続く見通しです。すでに株価が急騰している三菱重工・川崎重工・IHIの“3重工”を除き、出遅れ感のある有望な防衛関連株10銘柄を整理しました。
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総裁選が株価に影響を及ぼすセクター
総裁選の結果は「政策の方向性(安全保障、財政、規制、外交)」を通じて複数セクターへ波及します。短く整理すると:
- 防衛関連:防衛予算拡大・装備調達の継続や輸出緩和(対外装備輸出等)の期待で恩恵。中小部品サプライヤーまで波及しやすい。
- 農業:安全保障や食料安全保障の議論が高まれば、国産強化・補助金拡大の期待が出ます(農機・飼料等関連に波及)。
- 金融(銀行、保険):財政・経済政策(減税・インフラ投資)期待で景気敏感セクターが反応。日銀・金利観測も影響。
- 輸出関連(自動車・機械):外交・通商方針が不確実だと短期下振れ、逆に対米関係改善や防衛連携強化観測で軍需向け輸出機会が増える。
- 電力・インフラ:国策のエネルギー・インフラ投資方針が変われば受注期待が高まる(防災・国土強靱化と関連)。
要は「防衛」は直接の受注増+サプライチェーン波及で恩恵を受けやすく、他セクターは政策色により方向感が分かれる
誰が総裁になっても防衛関連銘柄が上がる理由
- 構造的な防衛予算増:近年の防衛関係費は大幅に拡大しており、中央調達(防衛装備の契約)総額は兆円規模で安定的に推移しています。既に予算・装備計画が前倒し・拡張されているため、政権の細部は変わっても「防衛投資増」は継続シナリオになりやすい。
- 与野党での安全保障認識の共通化:対外環境(台湾海峡・ロシア・中東等)の不確実性を受け、主要プレーヤーが防衛強化を主張しており、短期の政権色に左右されにくい。
- 装備輸出とサプライチェーン効果:防衛装備の海外販売解禁や国際協力が進めば、民需・海外売上も期待できる(電機・部品・素材まで広く波及)。
3重工(=三菱重工・川崎重工・IHI)を対象外にする理由
既に「一段高」しており、相場の主導銘柄になっているため:これら大型株は市場で既に織り込みが進み、大きな上振れ余地が限定的という見方が多い(機関投資家の保有比率も高く、短期の急騰は起きにくい)。従って、ブログの訴求力(“これから上がる”という意図)を出すなら出遅れ・中小〜中堅で値動きが期待できる銘柄を探した方が読者受けが良い、という判断です。
防衛関連株10銘柄の企業プロファイル(3重工除外版)
銘柄名(コード) | 主力事業・業績概要 | 防衛関連比率・分野 | 最近の調達実績・特徴 |
---|---|---|---|
三菱電機(6503) | 電機大手、売上5兆円規模。産業システム・社会インフラが収益柱。 | 防衛エレクトロニクス比率は売上全体の数%。レーダー、ミサイル誘導装置を担う。 | 中距離地対空誘導弾システム、各種レーダー納入実績。防衛装備庁契約上位常連。 |
NEC(6701) | ICTインフラ、公共部門比率高い。売上3兆円規模。 | 防衛通信・指揮統制システム、サイバー・衛星関連。 | 指揮統制システム、防衛衛星通信システムの受注多数。2024年度も大型契約あり。 |
富士通(6702) | システムインテグレーション大手。売上3.6兆円規模。 | 防衛関連は全体の数%だが情報通信・ネットワークに強み。 | 陸自ネットワーク、サイバー防衛関連システム納入。IT・DX需要と防衛の二重追い風。 |
SUBARU(7270) | 自動車が主力。航空宇宙部門は売上1割弱。 | 防衛は航空機(UH-2ヘリ、戦闘機部品等)が中心。 | UH-2多用途ヘリの量産契約。米軍・自衛隊向けF-35部品も継続受注。 |
新明和工業(7224) | 産業機械・パーキング等も展開。売上約2000億円。 | 航空機部門(救難飛行艇US-2、部品供給)が柱。 | 救難飛行艇US-2の防衛省調達。航空機整備・部品受注が安定的。 |
日本製鋼所(5631) | 重工・鋼材の老舗。売上2000億円規模。 | 防衛は砲身・鋳鍛材で世界的シェア。 | 砲身・艦砲部品の供給継続。政府契約により安定的に受注。 |
フジクラ(5803) | 電線・電子部材メーカー。売上7000億円規模。 | 防衛は子会社・関連会社経由で航空部品・防護装備。 | 航空用配線、防護具、電子部材で防衛装備庁調達に参入。 |
電気興業(6706) | アンテナ・通信鉄塔メーカー。売上600億円規模。 | 防衛は通信アンテナ、レーダー関連。 | 自衛隊レーダー基地用アンテナ、監視システムの供給実績。 |
放電精密加工研究所(6469) | 航空宇宙部品・精密加工が主力。売上200億円規模。 | 防衛は航空エンジン部品の受託加工。 | 三菱重工・IHIの防衛エンジン部品を供給。下請けながら収益性高い。 |
多摩川HD(6838) | 高周波無線機器メーカー。売上100億円未満。 | 防衛は通信・監視機器向け。 | 防衛向け高周波モジュール、通信装置を納入。中小型株でテーマ買い余地。 |
総裁選後の値動き予想(短中期シナリオ)
- 短期(1~2週間):
- 総裁選の**“当選→首相確定”が市場の不確実性を減らす場合、「防衛関連」テーマに短期的な買い戻し**(特に出遅れ中小→上方修正期待)が出やすい。ニュース性(新政権の防衛関連アピール)で物色が加速。
- ただし、為替(金利)や海外要因が不安定だと、輸出株とトレードオフで資金の入れ替わりが起きる可能性あり。
- 中期(1~6ヶ月):
- 予算・具体的な入札/中央調達のスケジュールが公表されれば、受注の確度が高い銘柄(上で挙げた受注実績がある企業)にじわじわ資金が入る。中小サプライヤーは業績開示(受注の開示)でより大きく反応することが多い。
- リスク要因:
- 地政学リスクの緩和(急速な悪化の回避)は逆に「テーマ買い」の一服を招く。
- 金利上昇や相場全体のリスクオフは小型株の上昇を打ち消す可能性あり。
- 政策が「防衛費増」→「内需重視」にシフトしない限りは防衛関連の基調は崩れにくいが、個別の受注の有無が株価差を生む。
まとめ 最後に実務的アドバイス
- 短期トレードなら総裁選(10/4)直前の材料出尽くしと当選直後の“サプライズ”を狙う手法があるが、ボラティリティが大きいので損切ルールは必須。
- 中長期投資なら「受注の見込み」「売上に占める防衛比率」「財務(負債やキャッシュ)」をチェックして、IRや中央調達のリリースをウォッチすること。防衛は受注→納入まで時間がかかるため、情報の先読みが効きます。
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